クラシック業界のヴァイオリンのレッスン料やプロが使用している楽器の値段について、みなさんはどのくらいの金額が一般的な額だと思いますか?

今日は、昭和の普通のサラリーマン家庭で育ち、必要最低限と思われる環境でクラシックのヴァイオリン技術を習得してきた私目線のお話をしてみようと思います。


私の環境

私の両親はクラシック音楽の知識は全くなく、子どもたちに対してそれほど積極的に関与するタイプではありませんでしたが、私の耳が良い、という理由で3歳になる前から近所のヴァイオリン教室に通わせてくれていました。コンクールへの参加を勧められることもないお教室でしたので、のんびりヴァイオリンを続けてきました。途中、引越しで別の先生のお教室になってからもそれは変わらず、中学生になって音楽高校への進学を薦められたことや、いずれ音大に行くには音大の教授から専門的なレッスンを受けるのが当たり前、のような感じの流れ(?)になってから、初めて本格的なヴァイオリンのレッスンを受ける様になりました。

教授のホームレッスンでは、レッスンが終わると、「次はいついつに来られる?」という感じで予定を入れていただいていたのですが、家に帰ってから親に「次のレッスンはいついつって言われた」と伝えると、「うちは、そんな高いレッスンに毎度通わせらるほど裕福じゃないのだから、先生にお断りの電話をしなさい」と言われたりなんかしていましたね、、。

無事に進学してからも、当たり前の様に高額な楽器を持って、お高そうなブランドグッズで身を包んでいる友人たちと自分を比べて、あぁ、クラシック音楽って、本当にお金がないとできない音楽だったんだな、、、、と何度も挫折感を味わってきました。

ということで、本当にお金がかかるのですが、それが、一体どのくらいなのか?
改めて振り返ってみると、恐ろしい額でした、、。


使用ヴァイオリンも奏者の評価に含まれる

ヴァイオリン自体が、貴族社会の中でもてはやされてきた楽器ということもあり、すばらしい音色を生み出せるよう手間ひまかけて製作されるものなので、まず楽器本体が高額です。とりあえず金額は後ほど、、

そして、ヴァイオリンの技術を習得し、指導者や演奏家として活動していくためには、国内外の音楽大学を卒業する、または、音楽大学で指導する教授クラスの先生や、コンクールの審査員をされているような著名演奏家の先生に師事して、それなりのコンクールの受賞歴を積み重ねていく、といった流れを経るのが、この日本での感覚としては一般的だと思います。

それから、音大には国公立、私立ありますが、もしも子どもに才能があって、ワンチャン、国立の音大(藝大)に行けたなら学費が安いのだから、そういう子は国立をめざせば高額なお金を工面しなくて済むかも?もしかしたらその過程で、どなたかがその子の才能を見出して、誰かが楽器を寄付してくれて、、なんていうことは、少なくとも日本のヴァイオリンの世界ではあり得ないのでは?と思います。

東大なんかだと時々聞きますよね?塾も行かずに親も関与せず、独学で頑張って合格する話。
でもヴァイオリン業界では、、、うーん、そういうのは全くが想像できません。

どうしてかというと、ヴァイオリン奏者は、コンクールや試験など演奏を評価される場面で、自分持ちの楽器で弾くことになるからです。ピアノ奏者は基本的には会場にあらかじめ用意された楽器を弾くので楽器の面では平等ですが、ヴァイオリンは違います。

テクニックや音楽性以前の話として、会場に音を響かせられるような、最低限必要とされるレベルの音量の出ない楽器であれば、観客や審査員の先生方のところまで演奏が聴こえないこともあるでしょうし、そもそも、ヴァイオリンにはある一定以上のランクの楽器にしかできない奏法というのが多くあります。

車で例えると、高級車と、安い軽自動車を比べるようなものです。高級車の方ができることが多いですし、快適です。レースなどでも、運転手の運転技術と車の性能のどちらも素晴らしいというような組み合わせが良い結果を生むでしょうから、お金があるのであれば、車の性能を低ランクにすることはしないと思います。

それがヴァイオリン奏者の置かれた環境なのだと感じます。さらに言えば、ヴァイオリンは、高級車よりも高額なものが普通に、当たり前の様に存在しているのです。


教授のレッスン

肩書きのある先生方のレッスン料というのは、その先生が演奏技術や肩書きや、指導方法を習得するまでにどのくらいの時間とお金を費やし、努力をしてきたのか、ということや、その技術や楽器を維持するためにどのくらいのコストがかかっているのか、ということが関わってくるだろうと思うので、まぁ、有名音大の教授ともなれば、レッスン料の金額も上がっていくのは理解できます。

というわけで、実際のレッスン料ですが、高校時代、某国立音大受験のためにその大学の教授にレッスンを受けていた友人は、1レッスン30分きっかりで4万円支払っていると言っていましたし、私自身も、私立音大教授のレッスンを受けていましたが、時間はもっとアバウトだったとはいえ、1レッスン2万円でした。

周りの友人たちも、1レッスン数万円は普通?のようでしたが、どの先生もレッスン料は公開情報ではなく、私の場合はお世話になっている地元の先生に紹介していただき、いくらぐらいお支払いすれば良いのかこっそり聞いて、菓子折りと一緒にお渡しするような感じだったりしていたので、本当の金額は先生から聞いたことがないという状況でした。。回数も、有名コンクール優勝経験のある友人は、曜日ごとに、月曜日は弓の先生、火曜日は曲解釈の先生、水曜日は、、というように数名の先生のレッスンを同時に受けていたそうなので、親に財力があることはもちろん、そういう状況に理解や時間的余裕がないとそもそも無理だと思います。子どもが一人で高額な楽器を持って電車でレッスンに通うというのも心配ですし、先生に失礼がないようにと思えば、親の付き添いや次のレッスンまでの練習サポートもある程度の年齢までは必要になると思います。

そういう先生方は、素性のわからない生徒を飛び入りで門下に入れてくれるわけではなく、習熟できている前提条件で、つながりのある地元の先生などからのご紹介が基本だと思いますので、練習しきれていない状況でレッスンを見ていただくことは許されない雰囲気があります。出される課題も膨大なので、次のレッスンまで1日何時間も練習しないと間に合わない、、、というのが教授レッスンのあるあるなのではないかと思います。

私が通っていたのは、地方のお嬢様が多く通っていると言われていた私立音大でしたので、高校生時代には教授のホームレッスンを受けるために、飛行機で来て、レッスン料とは別に、いかにもお高そうなお酒を先生にお渡ししていたお嬢様も見かけました。(次の生徒さんがくると自分のレッスンが終わる感じでしたので、前後はしばらく他の生徒さんのレッスンを見学することも。)


楽器の値段

楽器の値段についてですが、これもはっきりどこかで誰かが言っているものではなく、周りから聞いた話などを総合して考えると、音大で求められる楽器は400万円以上(先生によっては800万円くらいの楽器を勧められることも)、コンクールで上位入賞するために必要な楽器はウン千万円以上というのがあります。私の経験では、2千万円以上の楽器を持っていた同級生が3人いましたし、みんなに聞いているわけでもないので、実際はもっといるかもしれませんが、1千万円に近い楽器を持っている子はたくさんいそうな感じでした。。。ちなみに弓はまた別で必要で、これがまた高額なんです。ウン千万円の楽器なら、弓は数百万円、という感じです。

また、ヴァイオリンは、難しい曲を練習する場合には、弓の毛の引っかかり具合や、弦の発音などを常に良い状態に保たなければ弾きづらくなってしまって練習にならないので、3ヶ月に一度は、弓の毛替えと弦交換も最低限必要と言われていました。

そして、音大の学費、今は4年間で平均800万円ぐらいなんだそうです。。

改めて思い返すと、知らなかったとはいえ、クラシックの、特にヴァイオリンに関しては、庶民が立ち入ることがなかなか難しい世界なのではないかと感じます。もちろん、学ぶことはできると思います。奨学金を利用することもできるとは、思います。でも、そのあと、社会に出てからそれまでかかった金額以上を回収しようとした場合、やはり、コンクール歴や留学経験、有名な先生に師事していたとか、そういうことが見られる世界である限り、学校内だけではなく、世の中の上位に食い込む必要があります。が、そこにはそもそも莫大なお金がかかるという、、、。

だれだれさんが、海外のコンクールに挑戦したとか、留学したとか聞くと、、日本の音大に進学するだけでももんのすごいお金が必要なのに、それ以上のお金が必要なオプションの選択肢を持っているって、この人たちはどんだけお金持ちなんだー!と叫びたくなっていたのも久しく、最近では、「クラシック音楽を守るのはお金持ちに任せればいいか。庶民は気楽に音楽を楽しもう♪」という心境ですし、私のスタンスとしては、できる限り庶民目線でヴァイオリンをたくさんの人に楽しんでもらいたい、と思いながら指導していますよ♪

ということで、最後に、私の楽器の値段ですが、、、音大時代に5年ローンを組んでアルバイトをして自分で買った、ということと、先日楽器屋さんに聞いたら、小学生の時の弓が買った当時よりも3倍近い金額に値上がりしていた、ということだけお伝えしておきましょう。いつかの話のネタのために、、、笑

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