先日、ヴァイオリン4本のアンサンブルの曲を一人で多重録音したのですが、新しい発見がありました。
多重録音をしたことのある方は感覚がわかると思うのですが、何も考えずに自分一人で多重録音すると、なぜかまったりとしたつまらない感じになってしまい、イキイキとした音楽にはならないのです。
アンサンブルというのは、音と音が重なる際に音波がぶつかり合うような作用が重要で、音程の問題だけではないんですよね。別の人間が響きの違う楽器、奏法で弾いてこそ、音楽を生き物として出現させられるような気がします。ですので、私は多重録音をする際にはいろいろと工夫をしています。例えば、種類の違う弦を張っている別の楽器を弾いたり、ビブラートの速さを変えたり、録音後にPC内で個別のパートにうっすら別の金属系の音色を混ぜたり、微妙にEQを変えたり、と、パート毎に別の奏者になりきることで、各パートに変化をつけています。
そんなわけなのですが、今回は、1stヴァイオリンを3/4サイズの小さいヴァイオリンで試して弾いてみたところ、驚くほど別人のような演奏になったのです!
なぜだと思いますか?
それは、ものすごーく弾きやすかったからなのです!それで、私は確信しました!
もし本当の意味で体に合った楽器を使うのだとしたら、私ぐらいの手のサイズの方は本当は4/4サイズは大きすぎで、3/4がピッタリなのかもしれません。
欧米の手の大きな男性ヴァイオリニストを見ると、ヴァイオリンを構えた時、楽器がとても小さく見えるし、指も少し窮屈そうに見えることもありますが、指をぴーんと伸ばしてがんばって押さえる箇所が少ないので、楽々演奏しているように感じられます。
4/4サイズは私は小5から弾いていて、ちょっとがんばって小指を伸ばして使うとか、低い弦を弾く時に肘を思い切り内側に入れるとか、これは普通のことだと思っていましたが、もう少し小さければ、きっともっと楽に弾けると思うのです。ただ、このサイズの楽器ではダイナミックさが出せないような気はします。4/4サイズの楽器の持つ鳴りのポテンシャルが3/4にはなかなかないってことなのでしょうか。。
体のサイズの問題は、過去、多くの演奏家が工夫と努力で克服しているので、ある程度カバーすることは可能だとは思います。
とはいえ、子どもや若いうちは良いのですよ。それとか、生まれつき骨格がしっかりしている恵まれた体を持っている方とかは。多少、無理して筋肉や関節を痛めようが、ちゃんと回復してくてくれるでしょうから。問題は、新陳代謝が落ちた中年以降です。無理は禁物です。
自分の今もっている体を大切に使って、少しでも無理しすぎないためには、どう体を使ったら良いのか、ということは日々向き合い続けるしかありませんね。
私も、もし今後もう一本楽器を購入する機会があれば、レディースサイズ(7/8)という、ひとまわり小さい楽器を探してもいいかな、なんて思ったりした今日この頃です。